(PRTR 法)
J- PARCセンターにおける取り組み
J-PARCセンターでは、2013 年に発生したハドロン実験施設における 放射性物質漏えい事故を受け、職員と関係者の安全意識を向上させるた めの取り組みを進めています。
毎年、事故の発生した 5 月 23 日の前後には、事故の記憶を風化させ ることなく、各自が安全について考える機会とするために、「J-PARC 5.23 安全文化醸成研修会」を開催しています。2016 年度は、5 月 20 日に、
原子力科学研究所大講堂を主会場として、つくばキャンパスと東海 1 号 館に TV 会議中継する形で開催しました(参加者 317 名)。今回は、JR 西 日本安全研究所の阿部啓二研究主幹を迎え、「航空と鉄道における安全 の取り組み」と題した講演会を行いました。
講演では、日航機墜落事故や福知山線脱線事故の経験などを踏まえ、
ヒューマンエラーは起こり得るものであることを前提に、エラーが起きて も予測・認識・回復能力を向上させて事故につなげないようにすること が重要であることなどをお話いただきました。アクロバット飛行中の機体 トラブルからのリカバリー映像などを交えて、分かりやすい内容でした。
また、国内外の加速器施設の安全担当者や技術者と、安全管理の経 験と課題について情報を共有する「加速器施設安全シンポジウム」を毎 年開催しています。2017 年 1 月 26 日 - 27 日の第 4 回シンポジウムでは、
加速器施設における「緊急時対応」と「電気安全」をトピックスとして取
「Mindful of Others」ポスター
り上げ、関連研究機関や大学、企業などから多くの参加がありました(参加者 131 名)。各機関からの 12 件の講 演内容は、失敗談も含めた経験や、各施設での工夫を凝らした取り組みなど示唆に富むもので、ポスター発表も 含め多くの有益な情報交換が行われました。
この他にも、安全ポータルサイトを利用したヒヤリハット情報の共有に加え、WEB 上から「気がかり情報」を投 稿できるコーナーを設け、職員・ユーザー・業者などから意見や情報を得ています。2016 年度は特に「安全活動は、
明るく、楽しく」との方針を掲げ、できるだけ良い取り組みを「良好事例」として意識して取り上げて、共有するこ とにも力を入れて取り組みました。「Mindful of Others」というポスターを所内各所に掲示し、お互いの作業の安 全にも気を配り、声をかけてくれた時には感謝し合おうというキャンペーンも行っています。
J-PARC 5.23 安全文化醸成研修会における JR 西日本・阿部啓二氏の講演
職場環境の向上
健康管理
年 1 回の一般定期健康診断と年 2 回の特殊定期健康診断(電離放射線、特定化学物質等)の他、子宮がん検診、
大腸がん検診、胃がん検診をそれぞれ実施しました。このほか雇入時の健康診断及び長期海外渡航等に係る健 康診断を随時実施しています。
健康相談室では、健康診断の結果に基づいて産業医等による保健指導を行うとともに、職員からの健康相談 には随時対応してきました。また、職員の健康と健康意識の向上に向けた取り組みとして、「サイクロンと健康」
と題して産業医による安全衛生講習会をつくばキャンパスと東海キャンパスでそれぞれ開催しました。
KEK ではこれらの取り組みを行い、職員の健康の維持・管理、増進に努めました。
と題して「こころの健康セミナー」を主会場のつくばキャンパスと東海キャンパスとをTV会議で接続して開催しま した。併せて、消防署による「救命救急・AED 講習会」の他、安全への取り組みやヒヤリハット事例のパネル展 示をつくばキャンパスと東海キャンパスでそれぞれ行いました。その他、安全な行動や作業が自主的に行われる ようになるには、ルールや手順を理解した上で、危険を実感し感受性を高めることが大切との観点から、外部民 間事業所において「体感型安全教育」を実施しました。
KEK では研究活動推進する上で電気関連作業に従事することが多いことから、安全の取り組みの一環として、
また、感電・電気火災防止、電気の安全な使用方法の再確認の意味を込めて 2 月に関東電気保安協会茨城事業 本部の加藤政明氏を招いて「電気安全講習会」を開催しました。この講習会は素粒子原子核研究所が主催したも のですが、素粒子原子核研究所以外の機構職員の他、共同利用研究者、学生、役務契約会社職員からも多くの 参加がありました。
また、ヒヤリハット投書箱を通してのヒヤリハット事例の収集、「安全最優先」と大きく表記したポスターの掲示 を継続して行っており、日常の中での安全衛生に関する意識の喚起に役立っています。さらに、火災、地震、ケガ、
放射線事故、化学物質の汚染等の緊急時の対応を電話帳形式にまとめた緊急時対応手順書も日本語版と英語版 を並べて掲示し、いざというときに活用できるようにしています。
つくばキャンパスにおける取り組み
KEK では、毎年秋に安全・衛生週間を実施し、関連するイベントを集 中的に開催し、職員の他、共同利用者、学生、役務契約会社社員の方 に参加していただき、安全意識の向上を進めています。2016 年度は 11 月 3 日の祝日を除く10 月 31 日から11 月 4 日まで行い、初日にはキック オフとして機構長による安全訓示の後、「安全に実験研究を進めるために
〜マニュアル作成の留意点〜」と題して、早稲田大学理工学術院創造理 工学部・教授の小松原明哲氏による特別講演を行いました。また、安 全・環境講習会として、「一般安全」、「環境安全」のテーマの他、外部講 師を招いた「禁煙セミナー」、産業医による「「究極のストレス対処力とは」
機構長による安全・衛生週間キックオフ
防災への対応
つくばキャンパス全体規模で大地震の発生から火災に至るとの想定で 防災・防火訓練に加え、新たに、事故発生時の対応に関する訓練も併せ て実施しました。その他、自衛消防隊の 4 支部において計 5 回、独自 に防火訓練を実施しました。
東海キャンパスでは、西地区での防火訓練、J-PARCセンターとして事 故発生時の対応に関する訓練や消火器取扱訓練等を行ったほか、JAEA 原科研が実施した、大地震に続いて大津波が発生したとの想定による防
災訓練に参加しました。 消火器取扱訓練の模様(つくばキャンパス)
作業環境測定
労働安全衛生法に定める有機溶剤または特定化学物質を取り扱う場合、作業場に対する作業環境測定(当該 化学物質の空気中の濃度測定)及び作業者に対する特殊健康診断が義務付けられています。化学実験棟水質検 査室で委託業者が行っている水質検査業務のうち、ノルマルヘキサンを取り扱う検査、及び STF 棟内電解研磨 設備において電解液として硫酸とフッ化水素酸の混酸を使用する作業が有害業務に該当し、定期的に作業環境 測定を行っています。2016 年度は 9 月と 3 月にノルマルヘキサンの作業環境測定を、7 月と12 月にフッ化水素 の作業環境測定を行いました。双方の作業場においていずれの測定も第 1 管理区分(適切)に評価され、作業環 境上問題のないことが確認されました。
AED(自動体外式除細動器)は、2017 年 3 月末現在、つくばキャンパ スに計 10 ヶ所、東海キャンパス(J-PARC を含む)に計 15 ヶ所、設置さ れています。
なお、2016 年度は、「安全・衛生週間」のイベントのひとつとして、つ くばキャンパスと東海キャンパスそれぞれにおいて「救命救急・AED 講習 会」において心配蘇生法、AED 使用方法を実施し、つくばキャンパスと 東海キャンパスで 32 名の職員等の参加がありました。
AED 設置と取扱訓練
救命救急・AED 講習会の模様
巡視点検
法令等に基づき職場の安全衛生確保と職員の健康障害を防止するため、産業医、衛生管理者による巡視点検 を両キャンパスあわせて 133 回(累計 424 棟)実施し、指摘事項は 197 件あり、89.3% が改善されました。また、
これらの活動では、安全衛生推進室と各部署担当者が相互理解を深めるために、巡視点検の同道や、衛生委員 会での情報共有も行うとともに、各部署とも巡視指摘に対する改善のスピードが早くなり、意識の高まりがうかが えます。また、指摘事項のみならず、巡視点検における好事例も各キャンパス衛生委員会にて紹介し、より質の 高い安全衛生管理への一助となるべく情報発信をしています。
さらに、つくばキャンパスでは、産業医、衛生管理者による巡視点検の他に各部署の安全衛生点検者による月 1 回の自主点検も継続して行われています。
安全運転講習会の模様 安全業務連絡会の模様
また、J-PARC においても、作業における安全情報を業者と職員が共有・意見交換する「J-PARC 請負業者等安 全衛生連絡会」を 7 月に開催し、毎月 1 回の頻度で J-PARC の状況をメールニュースとして配信・共有しています。
「キャンパス・クリーンアップ月間」の開催 2016 年度「安全運転講習会」の実施について
KEK では、11 月 1日から 30 日の 1 か月間、職場の整理・整頓作業を通じて職員の安全・衛生意識の向上をは かるとともに、職場環境を改善し事故及び怪我を防止することを目的に、「KEK クリーンアップ月間」を実施しまし た。このキャンペーンでは、①各研究所、各施設等組織的に「整理・整頓」を実施する、②「整理」必要な物と 不要な物を分け、不要な物を捨てる、③「整頓」置き場所、置き方を決め、表示を確実に行う、を重点目標にし て取り組みました。
KEK では、業務上多数の職員が公用車(業務上における自家用自動車 使用を含む)又は自家用自動車を運転している実態を踏まえ、自動車の 安全な運転の確保を目的と道路交通法に基づく機構の業務に従事する運 転者に対して行う交通安全教育として、1 月 30 日につくばキャンパスで、1 月 17 日に東海キャンパスで所轄警察署から講師を招いて「安全運転講習 会」をそれぞれ実施しました。当日は、安全運転管理者挨拶、交通安全 講話に続いて、公用車等の適切な使用手続きを行うよう事務担当者から 説明・指導を行いました。
業務委託業者等への安全衛生教育
KEK の加速器や関連施設等の運転維持には数多くの業務委託の作業 員が携わっています。更に工事や役務等の業者の方も構内で作業を行っ ています。
2016 年度に発生した事故の中には、業務委託の方等の関わった事故 も含まれています。KEK では、業務委託業者等の方を対象として、毎年、
安全業務連絡会を開催しています。2016 年度は 2 月に開催し、構内に おける火災時の対応や一般安全、電気安全、放射線安全、高圧ガス・ク レーンの安全及び健康管理について各安全担当者、産業医より事故事例 等の紹介を交えて説明しました。
事故等
2016 年度、つくばキャンパスでは交通事故 10 件、発火発煙事故 4 件、その他事故(作業中の物損やケガなど)
が 10 件ありました。特に交通事故の原因は、駐車場で車を操作する際の接触事故(4 件)等、当事者の不注意 や確認ミスによる物損事故がほとんどでした。このことから、職員の他、ユーザーや関係の業者等の方々に対し て、構内での交通ルールの遵守についての注意喚起を機構メールで行いました。